2019年5月24日 (金)

『幸せカナコの殺し屋生活』

幸せカナコの殺し屋生活』1巻
若林稔弥著 2019/05刊 お薦め度:★★★★★

ブラック企業でメンタルをやられたOL西野カナコが、
面接を(それと知らず)受けた会社が、殺し屋会社。
待遇面は、ホワイト企業。ただ、仕事内容は殺し。
意外にも天性の才能を開花させたカナコだったが・・・。

ブラック企業で高圧的な上司を前に萎縮していたカナコが、
おどおどしながらも、殺しの仕事を完遂していくところが
面白いです。あと、動物の名前を使ったダジャレ的なギャグも
くだらなくていいです。
無理無理無理無理カタツムリーッとか、そういうの(笑)。

この本が目に留まったのは、本の装丁のおかげと思います。
カナコの泣き笑いのような笑顔の周りに、ギャグで登場する
動物たちが取り巻いています。
なんか面白そー!というエネルギーを感じる、いいカバーだなあ、
と思います。

画はシンプルでイラストっぽい感じで、全ページカラーです。
お薦めですよ~。
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2019年5月15日 (水)

『拳銃使いの娘』

拳銃使いの娘
ジョーダン・ハーパー著 早川ポケミス2019/01刊 お薦め度:★★★★★

11歳のポリーの前に、刑務所帰りの実の父親ネイトが突然現われた。
獄中で凶悪なギャング組織を敵に回したネイトには、妻子ともども
処刑命令が出ており、家族を救うため釈放されるや駆けつけたのだった。
だが時すでに遅くポリーの母親は殺されてしまった。
自らと娘の命を救うため、ネイトはポリーを連れて逃亡の旅に出る。
処刑命令を出した組織に損害を与えるため、道々で強盗をくりかえす父子。
暴力と犯罪に満ち危険と隣りあわせの旅の中で、ポリーは徐々に
生き延びる術を身に着けていく。
迫る追っ手と警察をかわして、父子は生き残れるか?
(WEBより転載)

メンタリスト』などのTVドラマの脚本家が小説家デビュー!
というだけあって、展開のテンポがいいです。
1章ごとが短く、話者が変わる構成もテンポをよくしています。
後半にいくに従い、バイオレンス感がハンパないので、
特に女性によっては苦手な方もあるかと思いますが、お勧めです。
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子連れ狼』にヒントを得たという話も伝わっていますが、
ポリーは大五郎より活躍しますし、よりバイオレンス傾向が強いです。
いやあ、手に汗握りました。ポケミスなので、ビニール装丁で
ビチャビチャになりますよ。

**********

『子連れ狼』実はコミック版、TV版とも大好きで、特にTV版は
これ以前も以後も、ここまでハイクオリティな時代劇って
なかったよなあ、と思います。
言っちゃあなんですが、時代劇って予定調和で、タチまわりがあって、
最後にサクラ吹雪か印籠が出てきて安心して見れる感じですが、
子連れ狼は時代劇というよりは、ハードボイルドに近いですよね。

殺陣も、軽快な音楽でばっさばっさと斬っていく感じではなく、
BGMもなく、数人でかかって来ても5秒くらいで文字通り瞬殺する
アレがかっこいいです。
拝一刀、強すぎです。そしてアイシャドーも濃い(笑)。

『子連れ狼』を描いた小池一夫小島剛夕コンビでは、実在の
首切り役人・山田浅右衛門を描いた『首斬り朝』もすばらしいし、
ケイの凄春』も、濃い~感じの名作です。
コミックを電子書籍で読むのは感心しませんが、手に入りにくい
今となっては、電子書籍で過去作品を読めるのは、いいかもです。

小池先生のご冥福をお祈りしております。

2019年5月11日 (土)

『予言の島』

予言の島
澤村伊智著 KADOKAWA2019/3刊 お薦め度:★★★★☆

瀬戸内海に浮かぶ霧久井島は、霊能者・宇津木幽子が
6人の死者が出ると予言を遺した場所だ。
天宮淳は幼馴染たちと興味本位から島へ向かうが、宿泊予定の旅館は
「怨霊が下りてくる」という理由でキャンセルされていた。
やがて起きる第1の殺人。
悪天候の中、緊急事態に慌てる淳たちをよそに、
島の住人たちは怨霊を恐れて家の扉を閉ざしたままだった・・・。

映画化された『ぼぎわんが来る』のホラー作家・澤村伊智さんの
ホラーテイストのミステリ。
宜保愛子さんを思わせる霊能者の宇津木幽子の霊視や予言に
翻弄される島民や若者たちの姿が、ちょっとかわいそう。
ホラー要素はあるものの、合理的解決があるのでミステリジャンルの
作品と言えましょう。さらに大きな仕掛けもあって、サプライズも
楽しめる作品になっています。
万人にお薦めではないですが、好きな人は好きかな(なんじゃそりゃ)
0511 

************

令和ですね。10連休とかいって、世間はお祭り騒ぎでした。
私は普通に仕事してました。なんも変わりません。
10連休の人は4割以上いるそうですが、交通、観光、小売、飲食
といった職業の人は、まあそういうときこそ忙しいですわね。
私のようなXX業の人も含め、そういう人は、じゃあ別の機会に
長期休暇をとれるかというと、実際はそうでもない。
みんなが休むから休めるのであって、働いている同僚をよそに
ハワイに行けるわけでもないのが実情じゃあないでしょうか。
10連休なんて正直いらないけど、月間休日が増えるとかのほうが
ありがいですわね。

2019年4月29日 (月)

『僕たちはもう帰りたい』

僕たちはもう帰りたい
さわぐちけいすけ著 ライツ社刊 お薦め度;★★★★☆

残業を余儀なくされる人や、様々なしがらみで「もう帰りたい」と
思う人々の話です。
それぞれ独立の話ですが、そんな人々が発見したスナック、店名は
「もう帰りたい」に集います。

暗いイヤな話になりそうなところ、このスナックを基点に
話が転がって、救いになるところが、読後感をよくしています。
コミックエッセイのようなライトな絵柄ですが、エッセイではなく
一応ストーリー漫画です。
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ライツ社という出版社の刊行ですが、なかなか面白そうな本を
出しているところで、コミックはこれが初みたいですね。
ライツ社のHPの「代表挨拶」というページが泣けます。
下はその一部です。
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新刊はこんなのがあるみたいです。
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「高級な けしょう品 一てきずつ」
 意味:いくら高くても少しずつ使ったらいみがない

「手つだいが こうかいに かわる」
 意味:一回手つだったらたくさんやらされる。

なるほどね。この出版社の目のつけどころが面白いですね。

*****

最近、見るだけだったtwitterもツイートを再開しました。
フォロワーが激少ないので、ほぼ反応なしです。
フォローしているのは、出版社とか書店が多いです。
たまに「いいね」がつくとなんか嬉しいものですね。
みんなが「インスタ映え」なるものに、尽力するのも分かります。
かめの写真もたまに載せています。

https://twitter.com/hujitsubo

2019年4月12日 (金)

『映画の字幕ナビ』

映画の字幕ナビ
落合寿和著 スティングレイ2019/02刊

映画の翻訳字幕を作っている人の本です。
この本は七五書店でたまたま見かけて買った本なのですが
出版社はスティングレイ。知らね~。

裏表紙を見ると「取引代行TRANSVIEW」のマークが。
これが噂の(噂になってる?)トランスビューか!
トランスビューは小さい出版社の中継ぎをしている会社で、
書店と直接取引で納品したりしている会社ですね。
聞いたことはあったのですが、初めてそこの扱いの本を手にしました。

スティングレイってどんな本を出しているんだろうとHPを開けたら
『巨大生物の島』『溶解人間』『スペースインベーダー』などの
文字が踊っています。出版社じゃなくてDVDの製作会社みたいです。
しかもB級映画の・・・『映画秘宝』のムックに紹介されている
ようなヤツばっか。嫌いじゃない(笑)。

さて本の中身は、字幕の翻訳の苦労話や、誤訳の問題など、
興味深い話がたくさんあります。特に著者が「脚本訳」と呼んでいる
字幕制作における基本姿勢に、なるほどと思います。
限られた字数の中に、もとの脚本の意図をどれだけ乗せられるか、
そのためにどの言葉を捨て、あるいは拾うか、必要なら意訳する
という細かな作業に取り組んでいらっしゃることに頭が下がります。
実例も細々と載っていて、もっと英語が分かればふむふむ、
となるのかも。
0412 

******

私の好きな映画『マトリックス』で、主人公ネオがスプーンを自在に
曲げたり浮かせたりする少年に会い、どうしてそんなことが出来るのか
尋ねると「スプーンはない」と少年は答えるシーンがあります。
仮想現実の世界で、スプーンが曲がろうがどうしようが、そもそも
スプーンなんて無い、という意味ですね。
その後、ネオが危険なエレベーターシャフトを飛び降りるシーンで
「スプーンはない」と自分に言い聞かせます。

ところがTV放映では、スプーン少年のくだりがカットされていて
「スプーンはない」と言うセリフに意味がなくなりました。
そこでネオがシャフトを飛び降りるときに言ったセリフが
「心を解き放て!」
なるほどね、と思いました。まあ、違和感はないですね。

英会話、できなくてもいいから、字幕なしで映画を観たり、
洋書を読めたりしたらいいのになあ。
首筋のプラグにケーブルを差して、ぎゅるるるとやると、
「英語をマスターしたぞ!」と、マトリックスみたいにならんかしら。

2019年4月 6日 (土)

映画『グリーンブック』

トニーはナイトクラブの用心棒をするような、がさつで暴力的な男。
職がなくなって紹介された口が、天才黒人ピアニストの、
ドクター・シャーリーの運転手。

シャーリーは黒人差別が激しい、アメリカ南部のツアーに行くのに、
用心棒・兼運転手が必要だったのだ。
そのガイドになるのが「グリーンブック」。これは当時、黒人が
旅行するのに、黒人が泊まれる宿などが紹介された本だ。

これを手に南部へと向かう2人あったが、教養もありお金もある
上品なシャーリーと、黒人に差別と偏見をもつ粗暴なトニーは
道中、ぶつかり合うことになる。
しかし黒人が言われも無い差別をたびたび受ける様を見るに付け、
トニーもシャーリーへ歩み寄っていくが・・・。


アカデミー賞の作品賞ほかを獲っただけあって、もちろんいい
出来でした。お涙頂戴の感動押し売りものではありませんが、
それでも私は最後のほうのトニーの奥さんの一言で、
急にちょっと涙が出てしまいました。

当時の黒人差別は、けっこうえげつないもので、ピアニストとして
招かれて、演奏は拍手喝采なのですが、その扱いはトイレから何から
白人とは別、という徹底ぶり。
それをことさら、社会派映画にしないで、ヒューマンドラマとして
まとめたことで、時代の異なる外国にも受け入れやすいストーリーに
なっています。

ユーモアも交えていて、車内でケンタッキー・フライドチキンを
食べるシーンは、声出して笑ってしまいました。

主演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ
監督:ピーター・ファレリー

2019年4月 2日 (火)

新井見枝香さんトークショウ

名古屋で新井見枝香さんのトークショウがあったので
行ってきました。トークショウなんて初めてだわあ。
新井さんは三省堂書店の社員さんで、いわゆるカリスマ書店員。
直木賞の受賞作より、自分の気に入った本に「新井賞」を勝手に
授与して、それをなおかつ直木賞より売ってしまうというツワモノ。
エッセイ本も3冊出されています(うち、1冊読みました)。

そのトークイベントはなぜか三省堂書店ではなく、町のちっさい
書店である、七五書店で開催されました。小さい店とはいえ、
各地の本屋を紹介するガイド本なんかにも、たまに登場する有名な店。
かといってセレクトショップみたいなとんがった品揃えで
ガチガチ硬派、人文書ぎっしり、あるいはオシャレな本集めました、
みたいな感じではない、普通な本の中からこれぞ、というのを
ジャンルごとに並べている点がいいのですよ。
雑誌や実用書もあるし、コミックはちょっと個性的な作家も含め
濃い目の品揃えになっています。

大書店だと、広いぶんざっくり「売り場」を見てしまいますが
小さい書店は売り場というより、棚1段1段、本の並び順まで
味わえますね。こういう大書店でもチェーン店でもないお店は貴重。

さて、棚を眺めていると、新井さんが芋洗坂係長ふうのでっかい
おじさんと来店。さっそく新刊棚を眺めておられました。

お客は4:1くらいで女性が多かったように思います。
女性に挟まれて座っていると、なんだか女子会に紛れ込んだおじさん
みたいで、居心地がちょっと・・・。
トークは新井さんを半円形に囲む感じで、私は結構新井さんの
まん前あたりにいたのでカブリツキな感じでした。
黒でまとめた洋服とブーツで、なかなかステキでございました。
 0402 

(画像は七五書店さんのTwitterより。私はちょうど写ってません)

一人で漫談みたいになるのかなと思ったのですが、もう一人、
書店員の女性が話を振りながら、というスタイルでした。
話は本の話、新井賞の話、ストリップ劇場の話、甘いものの話と
縦横無尽な感じでした。
女性だから?私がふだん口数が少ないので、女性が2人いると
話は一瞬も尽きることなく、それも面白おかしく、興味深く
できちゃうのが不思議ですね。きっとエッセイの筆力以外に
トーク力もお持ちなんでしょうね。回し役の女性も上手でした。

トークショウ、おもしろす。また何かあったら行こう。

2019年3月31日 (日)

クリント・イーストウッド『運び屋』

映画『運び屋

デイリリーという花を育てる園芸家のアール(イーストウッド)は
仕事人で、彼の花は品評会で大評判だ。その反面、彼は家庭を
ないがしろにし、娘の結婚式さえすっぽかしてしまう男。
その彼も仕事が行き詰まり、今ごろになって家族を頼ろうにも
門前払いを食らってしまう。そんなアールに声を掛けてきたのは
麻薬の売人だった。ブツを運ぶだけで金になると言われ
ホイホイ乗ってしまう。
稼いだ大金を孫娘の結婚式に使い、感謝された彼は舞い上がり、
さらに運び屋稼業に精を出すことになるが・・・。

クリント・イーストウッドが目にした「90歳の運び屋」という
小さな記事をもとに作られた本作。
さすがにもう銃をぶっ放したり、走る列車でアクションする
わけにもいかないので、比較的地味なつくりですが、
やはり名優・名監督が撮れば、囲み記事もこんなに面白い映画に
仕上がります。

アールという爺さんは、朝鮮戦争の修羅場をくぐってきた男で
年齢もあってか、開き直っているというか、怖いものなしです。
大量の麻薬を積んでいても、寄り道してサンドイッチのうまい店に
行っちゃったり、危なっかしいのですが、
自身も映画界を渡り歩いて来た猛者であるイーストウッドがやれば、
なんだか説得力があります。お薦めです。

2019年3月29日 (金)

『酒好き医師が教える最高の飲み方』

酒好き医師が教える最高の飲み方
葉石かおり著 日経BP2017/11刊 お薦め度:★★★★☆

「酒好き医師が教える」という書名ですが、書いているのは
「酒ジャーナリスト」という肩書きのライターで、医師は
監修をしているようです。
本の中で、多数の専門医や研究者を訪れては、各テーマごとに
内容を掘り下げていきます。なので、ライターが適当なことを
ほざいているわけではなく、医学の最新データに基づいた
内容になっています。

とはいえ、最終的にどの医者も言うのは同じ。
「ほどほどにしときなさいよ」
ということ。つまり日本酒なら1合、多くて2合。
ビールなら中瓶1本。休肝日もね、という話。
最新データをもってしても、ここは昔から言われていることと
あまり変わらない。
なので、この本を読んで「よーし、この攻略法で二日酔いは
しないし、太らないで沢山飲めるぞ~!」なんて
調子のいい話にはなりません。

飲めるぞ~って言うより、むしろ焼酎を飲むのをやめました。
買い置きすると飲んでしまうので、買っていません。
焼酎でも割って飲めば健康的ですが、ストレートで飲むので
胃腸や食道にもよろしくない。これこそ癌のもとだなあと。
ということで、この本を機にアルコール度数は15度まで、
つまり日本酒かワインまでにしました。
・・・つまりトシってことかな。

2019年2月16日 (土)

『定年前 50歳から始める「定活」』

『定年前 50歳から始める「定活」』
大江英樹著 朝日新書2019/01刊

50代前半ですが何か?
あ~早く来ないかな定年。
「定年にならないで!毎日家に居ないで!」と今の段階で
妻に言われています。
まず作務衣を買って蕎麦打ちの道具を揃え、盆栽を買ってきて
カラオケ教室に通い・・・そんな定年はイヤだ!

著者は世間が煽っている「老後は1億円いるから投資や運用で
金を作れ!」というようなことには否定的です。
退職金で奥様へのご褒美と称して世界一周クルーズはNGだし
「奥様と同じ趣味を持とう」とか「地域の人と交流しよう」とか
いうような、ありがちなテーゼにも反対です。

老後は会社とは縁を切って、別の仕事や起業で収入を確保しよう、
そのためには社外の人脈作りのほうが今は大切、と説きます。

読み終わって、ではさて今から何ができるかな、というと
それは分からないですが、文章を書くのは好きなので
何かそういうことでお金に変える方法はないのかな~と
ぼんやり考えたりはしています。

ビデオ編集も好きなので、ユーチューバーという手もあります。
私が定年になるとき、ユーチューバーなるものが存在しているか
それはわかりませんけどね(笑)。

私がたまに接触する老人たちは「どうしてここまで世間の感覚から
ずれてしまったのだろう?」と思わせることが多い。
自分の価値判断や感覚からしかモノが言えなくなっており
「いや、今の世の中、これがフツーだから」
「それ100人に聞いてみてよ、みんなノーって言うから」
ということが多い。
しかしそれは明日の自分かもしれないので、老人のフリみて
我がフリ直せと、今は自分の戒めとしておこう。

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