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2014年9月24日 (水)

『突変』日常と地続きのSFパニック!

突変』(とっぺん)
森岡浩之著 徳間文庫2014/09刊 おすすめ度:★★★★★

数年前より起こっている謎の現象「突然変移」通称「突変」。
パラレルワールドの「裏地球」と、一部地域が入れ替わる現象だ。
「裏地球」は未知の生命体チェンジリングが蠢く不気味な世界
なのだった。酒河市一帯がこの変移に巻き込まれ、周囲は裏地球へ
投げ出される。スーパーの店長、子連れ主婦などの市民はこの事態に
立ち向かわざるをえない状況に陥るのだが・・・。
文庫書き下ろしSF。

著者は『星界の紋章』とかのスペオペを書いているバリバリのSF者。
しかし本書はSFアレルギーの人にも読みやすい語り口で、それでいて
SFの醍醐味を味わえる大作です。
群像劇なのですが、みんなスーパーヒーローではなく、一般市民が
大半です(中には、この事態に備えて訓練されたり、銃器を持った人も
いるのですが)。この事態に「町内会」が自治を行ったり、発砲について
法的な裏付けを求めたりといった、リアルさも本書の面白さのひとつ。
SFでありながら、天災を思わせる現実感、トイレの水をどうすると
いったディテールが、リアルに日常に迫ってきます。
0924

*****

トイレの水、で思い出しましたが、先日近鉄特急に乗っていたときの
ことです。車内のトイレに行こうとすると、アジア系外国人らしき人が
トイレの前で困っていました。どうも「中に誰もいないのにドアが
開かないんじゃ、これがまた」と言っているらしい。「ドア開かない」
という点を、腕をぐいぐい引くジェスチャーで表現する。
男子小用トイレは小窓があって、人が入っているか見えるのですが
確かに誰もいない。なんかの事情でドアがロックされたのか?
ドアを引いたら・・・難なく開きました。するとそのおやっさんが
「なんだそうか!横に引くのかい!わしゃさっきから、ドアを手前に
引いてばかりおったんじゃ!そうかスライドか!こりゃ参ったね」と
いうのを、また腕を引いたり押したりする身振りで私に語りかけて
くるのでした。
いいから、早く入って下さい・・・。
用を足したおやっさんは、待っている私に向かって、なおも
「いやはや、ドアをスライドさせるたあ、思いもよらなかったね」と
またもジェスチャーつきトークをひとしきりやってから、隣の車両へ
にこやかに帰って行きました。多分、同じトークを一緒に来た家族か
友人に披露することでしょう。
温かい国際交流の場でござんした。

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