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2017年3月 8日 (水)

『白樫の樹の下で』

白樫の樹の下で
青山文平著 文春文庫2013/12刊 お勧め度:★★★★★

江戸は中期。戦国時代でもないので、武士とて真剣を振るう時代
ではなかった。
若き武士、村上登は剣の使い手だったが、未だ人を斬ったことはなく
腰には竹光を差していた。
しかし登は1本の真剣を預かることになり、腰に差すようになったが、
その頃、大膾(おおなます)とあだ名される辻斬りが現れる。
殺された者がズタズタの膾斬りにされていたからだ。
町人だけではなく武家もその手にかけていた、相当の使い手であろう
大膾とは何者なのか。
江戸の町でも、その腕が知られていた村上は、一連の事件に関わることに
なるが、登は大膾の正体を突き止め、成敗できるのか・・・。
0308

↑表紙が地味。

景気のいいチャンバラものではなく、どちらかと言えば、ストイックな
若武者を主人公にしたハードボイルドという印象。
しかも辻斬りが誰なのかを探るミステリでもあり、そしてまた
青春小説でもあります。
時代小説をオヤジくさいと思って読まないのは損だと思わせる
一品ですね。

お侍と言えば、みんなズパズパ人を斬ってるという印象ですが、
それはTVの時代劇の話で、江戸中期ともなれば、大小を腰に差して
いても、人を斬ったことがないのが普通。
下級武士は仕官の口もなく、道場で竹刀を振って、傘貼り、提灯貼り
というのが、本書で描かれる若い武士の暮らし。
若く、技術があっても派遣社員で細々と暮らす人が多い現代に
オーバーラップするものがありますね。

珍しく時代小説を読んだきっかけは、古本の100円コーナーを
「あ行の著者」のところから眺めていて、発見したから(笑)。
ふだんは古本を買わないのですが、青山文平さんは『半席』が
ミステリベスト10に入ったりと、気になる作家さんだったので、
お試しで購入。
しかしさすがに松本清張賞受賞作だけあって、すばらしい出来。
100円で読んでしまって申し訳ない!今度ちゃんと新刊買います。

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コメント

>時代小説をオヤジくさいと思って読まない

父親が時代小説好きで家にずらっと並んでいたので
30代くらいまで、私も、そう思ってましたねー。

このごろは、ぽつぽつ読みます。

かめのてさんの書評読んでおもしろそうだなと、
図書館から借りてきました。
(スミマセン!100円どころか買ってさえいない。。)

おもしろかったです。
犯人は、明かされるまでわからなかったけど (^^;
彼以外ありえなかったなぁ。
伏線らしきものはありましたね。
ちょっと辛い結末でしたが、青春小説でしたね。

★5つ、納得です。

紹介した本が読まれるとうれしいなあ。

時代小説といえば
『敵の名は、宮本武蔵』という新刊も
ちょっと面白そうだなあ、と思ってます。

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