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2018年5月28日 (月)

『生還者』下村ミステリーはハズレなし

生還者
下村敦史著 講談社文庫2017/07刊 お勧め度:★★★★★

世界第3位の標高を誇るカンチェンジュンガで大規模な雪崩が発生、
日本人登山者7名が巻き込まれる惨事となった。
登山をやめたはずの兄が、なぜかその雪崩に巻き込まれ命を落とした。
増田直志は、兄のザイルが切断されていたことに気付く。
兄は事故死ではなく何者かによって殺されたのか――?

雪崩事故から高瀬という男性が奇跡の生還を果たす。
単独行だった高瀬は、猛吹雪のなか兄たち登山隊に出会い助けを
求めたが冷たくあしらわれ、登山隊の加賀谷だけが残って自分を
助けてくれたという。
行方不明の加賀谷が英雄としてマスコミを賑わせる中、
今度は東という男が救助された。東は高瀬が嘘をついていて、
加賀谷こそが卑怯者だと証言するのだった。

二人の生還者はどちらが真実を語っているのか?
兄の死の真相を突き止めるため、増田は女性記者の八木澤とともに
高峰に隠された謎に挑む! (WEBより転載)

山岳ミステリー。山は低山でも登ったことありませーん。
大迫力の登山シーンなど『サハラの薔薇』でも見せた描写力で
ぐいぐい読ませます。
『生還者』というのは、もうこれ以外にないというタイトルで
サバイバーズ・ギルトというらしいんですが、事故や災害で
生き残った人が「なぜ自分だけが」という罪悪感に苛まれる
状態を言うそうです。
この物語に登場する人物たちが、その罪悪感に苦しみながら
生きている様と、過酷な大自然と戦いながら頂上を目指す様と
オーバーラップしてくるんですね。
読みごたえ充分、お勧めです。
0521

*******

例のアメフトの危険タックルの問題が尾を引いていますが
あの話題は、この本のことを思い出させます。
関係する選手だったり、監督・コーチだったりが記者会見で
異なる意見を言い、どっちが本当なのか?という点で似ています。
私も最初、あの映像を見たときは
「血の気の多い選手が突進していったんだな」と思ったのですが
実際その裏にはいろんな事情が隠れていたわけです。
まあ、たいていのことはウラがあるわけですが、ついつい
表面的なところまで見て、思い込みもあったりして、
人は好き勝手にあれこれ言うわけですよね。

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