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2020年8月

2020年8月26日 (水)

NOシュヨウ日記 第15回

8月14日
退院・入居その1

兄と叔母が母の退院手続きをして、有料老人ホームへの
入居をする日。私と妻は実家に待っているように言われた。
介護タクシーが実家まで来て、いったん車椅子ごと家に上げる、
というのだ。
母も入居前に家に一度入りたいだろう、という兄の考えだ。

私はその案には反対だった。
実家と言っても狭くて古い団地の1階の一室である。
決して「庭付き一戸建てマイホーム」ではない。
そんな家に入りたいだろうか。私は実家に何の愛着もない。

介護タクシーが来た。兄と叔母も同乗している。
でっかいレジアスかハイエースのサイズだ。
車椅子を載せて持ち上げるリフトがついている。
車椅子を下ろしたものの、狭い団地の階段の前で
大人が両端を抱えて上ることができないと分かった。
人間2人と車椅子を同時に通り抜けられないのだ。

腹立たしいのはそこからだ。
近所の婆さん2名が通りかかり、母の変わり果てた姿に驚き
ああだこうだ、と言い始めた。見世物じゃないぞ。
うち1名はすぐ退散したが、もう1名の婆さんはいつまでも
居座っている。

コロナのせいで、殆ど会えず会話もできていないので
この僅かな時間でも貴重なのに、この婆さんはいつまでも
邪魔をしてけつかる。

結局、家に上げるのは断念した。
介護タクシーの人も、無理に持ち上げて何かあった場合の
責任が持てないし、到着時間の制限もあり早く去りたがった。
私もオババの見物から逃れたかった。

介護タクシーに車椅子の母を乗せ、兄と叔母も乗り
施設へ向けて出発した(父は午後、透析のため来れない)。
追いかけて私の車も出た。
運転は妻がしていた。
私は助手席でオババへの怒りでハラワタが煮えくり返った
ままだった。何なんだ、あの無神経な婆さんどもは!
後で格好の井戸端会議のネタになっているに違いない。
明日のあんたらの姿とも知らずにな!

頭をかきむしり、膝をどんどん叩いた。
車内でうなり声を上げた。
運転しながら妻も泣き出した(運転中に危ない)。

「何を急に泣き出しているんだ?」
「だって、お母さん、あんなになって・・・可哀想!」
母の術後の姿を見たのが、妻はこの日が初めてだったからだ。

自分の家が燃えているときに、火事場見物している
野次馬への怒りとは、こんなものかも知れない。
こんな腹立たしい思いをするなら病院から直行で
よかったのだ(それは兄へは言わなかったが)。

もっとオババどもを早く追っ払えば良かった。
兄の案に強行に反対すればよかった。
後から後から怒りが湧いてきて止まらなかった。

オババどもも、母を可哀想に思ったのは妻と同じかも
しれない。でも私は素直に妻のように涙ぐめなかった。
あるのはただ怒りでしかなかった。

つづく

2020年8月22日 (土)

NOシュヨウ日記 第14回

8月10日
備品搬入

兄と叔母、おまけにうちの妻も入れて施設に、備品搬入に
行くことになった。
実家に集合して、まず自宅にある衣類や布団などで
使えそうなものを叔母に選んでもらう。
シャンプーやら洗剤やら消耗品はわたし、
チェストや棚、物干しセットなどハードウエアは兄が
事前に買っておいた。

現地に行く前にドラッグストアに寄り、シモ関係の消耗品を
買うことにするが、種類もいろいろあり全員売場を前にして
当惑してしまう。
若い店員さんを呼ぶも、当然経験もなく参考にならない。

スマホで調べると
1、テープ式おむつ
2、リハビリパンツ
3、パッド

の3種類があり、
1は赤ちゃんのおむつのように寝たままで交換できるもの。
2は紙でできたでかいパンツといった感じで、
立ったり座ったりできる人が主に使うものらしい。
3は1や2にあてがって使うもので、尿などを吸収する
役目のもの・・・らしい。

とりあえず3種類とも1パックずつ買うが、1日でどれだけ
消耗するのか、どれだけ用意していくべきかも分からない。

施設に着くと、コロナ対策で検温、手洗い、うがいなどを
させられる。4人で来たが2名ずつしか部屋に入れない。

あてがわれた部屋に入ると、前回は無かった柵のついた
介護ベッドと、車椅子があった。

まず我々兄弟が入って、物干し台など組み立ての必要なものを
組み立てる。
兄は母の趣味だった詩吟のCDとCDラジカセを設置。

私はいつぞや行った旅行の写真を飾る。写真には
両親、私と妻、兄貴夫婦とその子供が旅館の広間で並んでいる。
兄貴夫婦の息子と娘はすでに社会人と大学生だが、
この頃はまだ小学生くらいか、小さい。
この写真を見て母はどう思うのか、何かを思い出すだろうか。
「○○君は来年中学生か」みたいなことを言うのだどうか。

その後、女性陣と交代して収納をやってもらい、施設を後にする。
さあ、次はいよいよ退院と入居だ。

つづく

2020年8月19日 (水)

ウオノメ日記

1年くらい前から左足の真ん中の指にデキモノができて
歩くと痛いのです。
医者に行ったところ、液体窒素で焼く治療となり、
半年以上通いました。
しかし「また来週来てください」の繰り返しののち、
ようやく「もう大丈夫でしょう」となりました。

しかしじきに再発してしまい、ヤブ医者が信用できず、
別の医者に行ったら、ちょいちょいと削って
ヨクイニンという漢方薬の投薬治療となりました。
対応が違う~。

その後よくなったと思いきや、またまた患部が膨らんできて
痛くなってきました。
引越し後だったので、また別の医者に行きました。
そしてこれまでの経緯を医者に伝えました。

「削ってみれば、ウオノメかウイルス性のイボか分かります」
と言われて、結局
「これはどうやらウオノメですね。
ウイルス性のイボなら、1週間くらいでもとの大きさになるので
その場合は液体窒素治療で毎週通っていただきますし、
長くかかります。
でもこれはおそらくウオノメでしょう。
大きくなるのに1ヶ月くらいかかるはずです。
大きくなったらまた来て下さい。削る治療になります」


ということだった。また対応が違う~!

ベッドにうつぶせになり、若いお姉さんにイボを削られていると
何だかエステに来たみたいです(行ったことはないけど)。
削られると聞いたときは痛そうでしたが、たいして痛くなく
ふくらんでいたものが、平らになっていました。
靴底に当たらないぶん、歩いても痛くなくなりました。

まったくなんでこう、医者によって違うんだろう。
そんな重病でもないのに。

2020年8月15日 (土)

NOシュヨウ日記 第13回

8月6日
備品の買出し

一人でいる父の様子を見るため、実家に行く。
妻が昼食を作って、3人で食べてから、
妻と二人で備品の買出しに行く。

事前にもらっていた「ホームで必要な備品リスト」のうち、
消耗品を中心に100円ショップとホームセンターで
買い物をする。

シャンプー、リンス、ボディーソープ、食器洗剤、
トイレ洗剤は、買い足しできるようにどこでも売っていそうな
有名ブランドのものにして、大容量の詰め替えぶんも購入。

週に2回しかない入浴で、シャンプーを使うとして
果たして「詰め替え」にまで到達できるのか。
むなしく余ってしまうことになるのか。

シモ関係のものは、何をどれだけ買ってよいか分からず、
とりあえず保留。
だいたい1万円くらい購入。

兄のほうでハンガーラックや備品を置くラックや
衣装ケースを購入してくれる手はずになっている。
施設の説明によると、洗濯はやってくれるが、洗濯ものは
部屋干しになるらしい。なのでハンガーラックは、
タンスの代わりではなくて、物干し台なのである。

洗濯して、部屋干し、次の洗濯の日に干されたものを
衣装ケースやクローゼットに収納、新たに洗濯されたものを
部屋干し・・・というサイクルらしい。
自分でたたんでしまえる程度の介護度の人は、
たぶん入居者が自分で収納するんだろうけど。
洗剤は「部屋干しOK」「抗菌」みたいに書いているものにした。

面会ができないから、入居しても生活実態が見えないだろう。
兄はラジカセを持ち込んで、趣味の「詩吟」のCDでも
流そうとか言っていたが、どうなんだろう。
鞭声粛々(べんせいしゅくしゅく)~♪
とか詩吟の流れるなか、母がベッドに一人横たわっている図を
想像すると、なんだか妙な気分だ。

つづく

2020年8月13日 (木)

泣けると評判の『パラ・スター』

『パラ・スター<side百花>』

阿部暁子 著 集英社文庫2020/02刊 お薦め度:★★★★★

百花は車いすメーカーに勤めているエンジニアの卵だ。
その職業に就くきっかけとなったのは、親友の宝良(たから)の
交通事故だった。
テニスに打ち込んでいた宝良は、怪我でテニスができなくなり
自暴自棄になっていた。
そんな彼女を救ったのが車いすテニスであり、百花もまた、
競技用車いすの製作を夢見るのだったが・・・。
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書評家・北上次郎さんが100ページあたりで泣き始め、
最後のページまで泣きながら読んだという本書は
「本の雑誌」上半期ベスト1になりました。

本書にはテニスプレイヤーの宝良を主人公にした
<Side宝良>も刊行されています。

いや~青春ですね。
さすがに北上次郎さんほど、本にのめりこんで読むタイプ
ではないので、泣きはしませんでしたが
たいへん楽しく読めました。
素直で繊細で、それでいて熱いところもある百花と
逆にクールでいながら、血の気の多い宝良という
デコボココンビの友情が美しいですね。

******

毎回、要介護老人の話しではどんよりするので
さわやかな本の紹介をしてみました。

2020年8月11日 (火)

NOシュヨウ日記 第12回

8月4日
施設との契約

兄と共に施設の契約に行く。
兄の住まいの最寄り駅で車で拾ってもらい13時に現地入り。

結局6組、7人の人間に会った。
運営会社の人、薬局の人、介護支援員の派遣業者、介護用品業者など
すべて施設関係者で「重要事項説明」「個人情報取り扱い同意書」
「契約書」、場合によっては口座引き落としの書類・・・と
長々とした説明を聞いてから住所、氏名の記入と押印をしまくった。
最初は兄がやっていたが、途中から記入は私、押印は兄、という
分担で処理してった。
それでも全契約締結に4時間かかった。

そのあと、必要備品について相談するうち1時間経過した。
事前に「必要な備品リスト」をもらっていたが、
疑問点がいろいろあったのだ。

たとえば「冷たいドリンクを冷蔵庫から出して飲む」という気力も
意志も持たなくなっている母には、冷蔵庫もいらないらしい。

紙オムツは月にどのくらい消費するのか?
コロナで面会できない(部屋に入れない)では、
在庫の残数も分からないだろう。
そもそもコロナで面会もできないのに、備品補充のために来るか?
って話しである。コロナはこんなところにも影響を与えている。

家に着いたのは夜9時だった。

つづく

2020年8月 5日 (水)

NOシュヨウ日記 第11回

7月22日
引越し

4t車1台に5~6人がかりで1時間もかからず、
家財道具一式が積み込まれた。
目指す次の我が家へ車で向かう間じゅう、
かめは移動用の小さい水槽の中で、
振動が落ち着かないのか暴れ続けていた
(到着してまず、水槽をセッティングした)。

運び込まれた荷物、特に箱詰めした物の山を見てげんなりする。
この町にどのくらいの間、住むことになるのだろうか。
また引っ越すのは大変だが、東海地方に戻りたい。

7月24日
新しい勤め先に初出社。なんだか居候気分。ていうか窓際族?

7月27日
医者からの説明

医者に呼び出され、経過を聞きに行く。

アバスチンという薬を3回投与たが、MRI画像では
腫瘍が小さくなってきているという。
副作用も起きていないので続けよう。
そのあと、テモゾロミドという抗がん剤を投与の予定だったが
白血球の数値が下がっているので、中止している。
腫瘍は小さくなっても、本人を見ると日に日に弱ってきている
・・・とのことだった。

退院後、通院でアバスチンの点滴とテモゾロミドを処方する
予定だが、医者としては一定の効果がある以上、投与をやめましょう
とは言えないが、通院自体が負担になるなら中止もありえる。
そこはよく考えて検討してほしいとのこと。

コロナウイルスのせいで、現在は面会はできない。そのため、
今回は看護師さんが車椅子で母を廊下まで連れて来てくれた。
10mくらい先に母が見えるが、お互いマスクをしているし
表情もよく分からない。看護師さんが
「妹さんと息子さんが来られてますよ。分かりますか?」
と聞いたところ
「分からんかったら困るわ」
と答えたと、看護師さんが言ってくれる。確かに困る。

退院の日と施設の入居日が2週間後くらいに決まった。
その頃、母はどんな調子だろうか。
コロナウイルスで、施設のほうも面会できないのだったら、
病院にいても、施設にいても、たいして変わらない気がする。

つづく

2020年8月 3日 (月)

NOシュヨウ日記 第10回

7月12日
会社の同期で親しくしている男が、わざわざ遠方から
会いに来てくれた。彼とはよく名古屋で飲み会をしたが、
最近はコロナウイルスのせいで自粛していた。
この先当面、飲み会もできないので寂しい限りだ。

7月14日
会社でとてもお世話になった大先輩に、メールで異動の件を
お知らせする。暖かい返信をいただいた。

こういう地域での人とのつながりが、しばらく絶たれてしまう。
あまりコネクションのようなものを意識しては来なかったが
土地を離れるとはこういうことなのだな。

地元の知り合いがおいしいコーヒーを餞別でくれた。
その知り合いの中学生の娘さんも、次にもし会うときがあれば
立派な大学生とかになっているのかしら。

7月15日
私の後任が、出勤の予行演習も兼ねて挨拶に来てくれたらしい
(私は引越し準備で休みにしていた)。
どうやら彼は他県に持ち家があって、そこから通うらしい。
朝6時に出て7時半に着いたとか。
本当に申し訳ないことになった。
彼は優秀な人物なので、後任に決まって私は喜んでいたが
長距離の行き帰りで事故らないことを祈るばかりだ。
私の異動のせいで、みんな不幸になっている気がして怖い。

7月16日
本日付で「社員」から「地域社員」になった。
待遇が変わってからの最初の給料日が不安だ。
同一労働、同一賃金というのは、安倍首相の寝言だと分かる。

7月19日
兄からの連絡で、母が眠っている時間が増えているらしい。
「こんなんで施設に移る意味があるのだろうか」と
メールは締めくくられていた。
よく年をとると赤ん坊に近づくというが、その速度が速すぎる。
今はただ、出来る範囲で最善を尽くすしかない。

7月20日
今日明日で、今の営業所を去ることに。
同僚の人たちが、みんな別れを惜しんでくれ、餞別もいくつか
頂いた。とても嬉しい一方、私もこんな形でここを去るのが
とても残念でならない。

後任の男性と引継ぎをするも、よく喋る男でなかなか進まない。
楽しい男なので、同僚たちともうまくやっていくだろうことは
分かった。

つづく

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