書籍・雑誌

2020年8月13日 (木)

泣けると評判の『パラ・スター』

『パラ・スター<side百花>』

阿部暁子 著 集英社文庫2020/02刊 お薦め度:★★★★★

百花は車いすメーカーに勤めているエンジニアの卵だ。
その職業に就くきっかけとなったのは、親友の宝良(たから)の
交通事故だった。
テニスに打ち込んでいた宝良は、怪我でテニスができなくなり
自暴自棄になっていた。
そんな彼女を救ったのが車いすテニスであり、百花もまた、
競技用車いすの製作を夢見るのだったが・・・。
0813_20200815001801   

書評家・北上次郎さんが100ページあたりで泣き始め、
最後のページまで泣きながら読んだという本書は
「本の雑誌」上半期ベスト1になりました。

本書にはテニスプレイヤーの宝良を主人公にした
<Side宝良>も刊行されています。

いや~青春ですね。
さすがに北上次郎さんほど、本にのめりこんで読むタイプ
ではないので、泣きはしませんでしたが
たいへん楽しく読めました。
素直で繊細で、それでいて熱いところもある百花と
逆にクールでいながら、血の気の多い宝良という
デコボココンビの友情が美しいですね。

******

毎回、要介護老人の話しではどんよりするので
さわやかな本の紹介をしてみました。

2020年6月 7日 (日)

サーチライトと誘蛾灯・・・と魚の目

『サーチライトと誘蛾灯』
櫻田智也著 創元推理文庫2020/04刊 お薦め度:★★★★★

定年退職した男がボランティアで夜の公園を見回り中のこと。
テントを張って住み着こうとしているホームレスを発見。
と思いきや、カブトムシ採集に来ていた昆虫オタク青年だった。

見回りを終えたおじさんが、翌日ニュースで知ったのは
当の公園で死体が発見されたという事件だった。
事件は昆虫オタクのエリサワ青年によって解き明かされていく
・・・という表題作など、エリサワ君の謎解きが楽しめる
5編を収録したシリーズ短編集。
0603

あまり期待せず読み始めましたが、5編とも
「よくできた短編推理のお手本」ともいうべき作品群で、
非常に楽しめました。

エリサワ青年は探偵気取りではなく、たまたま観察力と
推理力にすぐれ、事件の裏側を読み取ってしまいます。
当人のキャラクターも語り口もユーモラスで、
1回きりの登場人物たちのキャラクターも掘り下げられていて
ドラマ性を感じます。
数が出揃えば、TVドラマにでもなりそう。

**********

昨年の夏頃から魚の目になり、秋ごろから皮膚科に通いました。
液体窒素でジューッってやる治療法なんですが、
最初はそんなに痛い治療ではなかったものの
穴を掘るほどに激痛になってきました。
しかもなかなか終わらない。

「まだですか」「あと何回くらい通いますか?」と聞いても
「良くなってますよ」「何回とか言えないですね」
「まだ芯が残ってます」というばかりで「では1週間後に」。

そしていよいよ「今日で最後にしましょう。もう大丈夫かと
思います」となり「やった!」と喜んだのが春ごろ。
しかし今も足は痛いまま。
そのうえ、痛いのを我慢して足を引きずっていたら
他の指に負担がかかったのか、魚の目が他の指にも・・・。

このヤブ医者!ここで名前、明かしたろか!
明かしても、めったに誰も読んでないブログだから、
なんの影響力もないけどな!(泣)

「レーザーメス治療」をやっているという別の病院にいきました。
そしたら「これは魚の目ではなくイボです。レーザーメスを
やってもいいですが、やると2、3日歩けませんよ。
連休とってから来てください」

治療方針としては
「漢方薬の飲み薬を処方します。イボも小さくなって痛みもとれます」
・・・なに?その治療法。塗り薬ではなく、内服薬?
しかも漢方って。ハトムギの成分であるヨクイニンという錠剤を
1ヶ月ぶん処方されました。

治るといいなあ。もう靴が苦痛。
#Kutoo運動、遅ればせながら参加します。

2020年6月 3日 (水)

レンタルなんもしない人のなんもしなかった話

『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』
晶文社2019/04刊 お薦め度:★★★★☆

「ごく簡単な受け答え以外、できかねます」
twitter発驚きのサービスの日々。 
本当になんもしてないのに、次々に起こるちょっと不思議で
こころ温まるエピソードの数々。 
行列に並ぶ、ただ話を聞く、絵画のモデルになる、
一人カラオケに付き合う、掃除をしているのを見ているetc
「なんもしない」というサービスが生み出す「なにか」とは
(Webより抜粋)
0518_20200603184001

TVドラマ版も見ていますが、本もなかなか面白いです。
ドラマ化される前からちょっと気になっていた本なので
読んでみました。

驚くべきは「なんもしない」だけあって、交通費と飲食代
以外はとらない、という無料サービスという点ですね。
一食浮く、くらいの効果しかないわけで、奥さん子供を
養うことは不可能なわけです。
こうして本にもなり、ドラマ化もされたり、メディアに
とりあげられて初めて収入に繋がったわけですが、
すごいですね。

その後「ザ・ノンフィクション」に出演したところ
「奥さん子供を食わしていけるのか」といった批判が
殺到したらしく、それを機に依頼1回1万円にしたそうです。
それでも依頼はちょうどいい量で安定的に来ているとか。
なんにせよ、商売として成立して貯金を崩しての生活で
なくなったのは、結構なことじゃないでしょうか。
石の上にも3年というか、継続は力なり、というか
このサービスを続けているのは立派。
フォロワーは27万人以上とか。

同じように「レンタルおじさん」をテーマにした
『コタキ兄弟と四苦八苦』というドラマも見ていましたが
こちらはたしかレンタル料千円(笑)。

「しょぼい喫茶店」の「えもいてんちょう」みたいな人とか
このレンタルさんのような人に、なぜか惹かれてしまいます。
世の中の理屈とは違う世界で、アウトサイダー的に
生きている人に。そしてネット時代だからありえるという
ところにも面白さを感じます。
でもYoutuberには興味を感じません、というかなんとなく
反感すら覚えます。何でだろう?

2020年5月11日 (月)

ですます調ハードボイルドSF!

マーダーボット・ダイアリー』上・下巻
マーサ・ウェルズ著 創元SF文庫 お薦め度:★★★★☆

かつて暴走して大量殺人事件を起こし、その記憶を消されている
人型警備ユニットの“弊機”。
ひそかに自らをハックしてシステムから自由になっていたが、
それを隠して保険会社の所有物として業務を続けている。
ある惑星資源調査隊の警備を任された弊機は、さまざまな危険から
顧客を守ろうとするが・・・。
0511_20200511121601

上下巻に中篇が4本あって、全体として1本の長編のようになっています。

設定をかいつまんでいうと、自らを弊機と呼称する警備ユニットは
有機組織とマシーンの合成体で、感情もあるし、負傷すると
痛みも感じているので、たぶんコンピュータに制御された脳もある?

その脳内で外部のシステムに無線でアクセスして解析したり
ときにはハッキングしてシステムを書き換えたり、
はたまた連続ドラマをダウンロードして見たりしている。

見た目は人間そっくりで性別があるのかないのか?
人間との感情的な交流を避けているし、人間側も人によっては
ボットを人間のように扱う者も、マシーンとして蔑視している
者もいる様子。
なので普段はアーマーを着け、ヘルメットで顔を隠している。

結構な未来が舞台のSFなので、文章から想像するとこんな感じ。
ただ未来にも連続ドラマは放送しているらしい(笑)。

そんな面白キャラクターの一人称が「弊機」。
自分の会社を弊社、というようにへりくだっているわけですね。
「拙者」とか「小生」みたいな感じでしょうか。

文章も弊機の一人称視点なので、腰の低い「ですます調」。
戦闘ボットとの激しい戦いも、ですます調で語られるので
逆にクールに感じたりします。

英語に丁寧語はないでしょうし、まあwouldとかcouldとかの
婉曲表現は使われるのでしょうが、これをですます調にして
人称を「弊機」としたところの訳者はセンスがありますね。
原著は「弊機」はなんて表現されているのでしょう?
「I」じゃなくて多分「It」とかでしょうか。

普段SFを読まない私には、SFならではの読みにくさを感じて
★4つですが、それでも今までにない面白キャラクターの活躍は
充分楽しめました。

********

コロナ騒ぎで収入が途絶えて困っている方もいるなか、逆に
運送業や医療関係者のように毎日激務になっている方もいるでしょう。
私も最近はむしろ仕事が過密になってきておりますが、
ゆえに収入には影響がないので、恵まれていると言えましょう。

休日も家にこもっているぶん、小遣いが余りがち(笑)。
それでは世間様に申し訳ないので、クラウドファンィングで
ビヤホール2軒と、ミニシアター・エイドに支援したり。

外食も喫茶店くらいしか行かず、久々になじみのカレー屋に
こわごわ行ったら、普通に客が入ってた(笑)。
店員のインド人だかネパール人だかはマスクしてないし(笑)。

2020年5月 7日 (木)

ビール職人のレシピと推理

ビール職人のレシピと推理
エリー・アレグザンダー著 創元推理文庫2020/04刊 
お薦め度:★★★★★

『ビール職人の醸造と推理』に続く第2弾。
オクトーバーフェスト目前のレブンワースに、この町を題材に
ドキュメンタリー映画を撮るというチームが現れる。
女性のビール職人というスローンに監督のペイトンは興味を示す。
しかし進行役の自称ハリウッド・スターのミッチェルは
おそろしく傲慢な人物で、映画はぶちこわしになりそうだった。

そのミッチェルが殺され、スローンが発見者になってしまう。
そこではカットというミッチェルのファンクラブ会長と、
地元不動産業者でミッチェルに部屋を用意したリサが居合わせ、
カットはリサが犯人だと言い張るのだった。

・・・さて前作でキャラクターも出揃い、田舎町で第2の殺人。
スローンは前作でのいろいろな問題(夫の浮気、もと勤め先で
夫の実家の醸造所、現在のボスであるギャレットとの関係など)で
大忙しなのに、また殺人事件に巻き込まれてお気の毒である。

作中でオクトーバーフェストが始まり、その様子が描かれますが
ますます行ってみたくなる町、レブンワース

夫とはまだ離婚していないが、現在勤めるパブ「ニトロ」の経営者
ギャレットとも、なんかいい感じになりつつあり、何かの拍子に
胸をどきどきさせるスローンが可愛いです。
原著ではあと2冊あるらしいので、邦訳が楽しみです。

0507
 
今回の書影はかめさんといっしょ。

********

ビールといえば、いま居酒屋は感染症問題で自粛して休業したり
テイクアウトだけになったりと、苦しい状態だとか。
そこで各地で未来チケットという支援がされてます。
クラウドファンディングなどでお金を集めて、平常時に使える
食事券をもらうという取り組み。

私の住む東海地方でも「BUY LOCAL nagoya
というのがあり、一度行ったことのあるビヤホールのチケットを
ネットで買いました。支払いはクレジットかコンビニ支払い。
いまそのサイトを見たら990万円になっていました。
もうすぐネクストゴールの1千万円!
5月末で非常事態宣言が終了するといいですが・・・。
早く10万円もらって、飲食と宿泊で使い切ってやるつもりです。
飲むぞ、食うぞ~!温泉入っちゃうぞ~!

2020年4月27日 (月)

ビール職人の醸造と推理

ビール職人の醸造と推理
エリー・アレグザンダー著 創元推理文庫2019/3刊 
お薦め度:★★★★☆

ドイツふうの町並みとビールで人気観光地となったアメリカは
レブンワースという田舎町。
不遇な少女時代を過ごしたスローンは、今はビール醸造家の
嫁として迎えられ、夫と息子、優しい義父母に囲まれ、
レブンワースで幸福な毎日を過ごしていた。
しかし夫の浮気が発覚した彼女は、新しく町にやってきた
ギャレットのブルワリーで働くことに。
店は大盛況の新規オープンを終えたのだったが、彼女は翌朝、
店の中で死体を発見してしまう。

0427
タイトルから、名探偵の頭脳を持つビール職人が、胃の内容物から
「このビールの成分が検出されたからには、容疑者のアリバイは
崩れたぞ!」
なんていう、日本の2時間サスペンス「XX刑事」みたいなものを
想像しそうですが、違います・・・。

そもそも本格推理ではないので、名探偵は登場しません。
主人公はただ巻き込まれてしまったために、犯人を捜そうとは
しますけど、単なる素人にできることは限られています。

この本の面白さは、クラフトビールを売りにした実在の町
レブンワースが舞台というところです。
小さい町なので、町が主人公と言ってもいいでしょう。
町で起きたこと(主人公の夫の浮気とか)が、すぐ町じゅうに
知れ渡ってしまうような、住人同士が近い、都会ではない
ところが面白さを生んでいます。

普通、小説は一人の人間、その家族、その所属する組織とかが
周辺の環境ですが、1個の町が舞台なのです。
主人公の家族、ブルワリーの経営者、ビール職人、噂好きで
他人の周辺をかぎまわる女など、住人たちのキャラクターも
それぞれ立っていて、臨場感があります。

なんというか『大草原の小さな家』あたりを思い出します。
あれもインガルス一家以外にも、オルソン夫妻とか、医者とか
教会の神父さんとか、そういう人々が住んでる町の話ですよね。

第2弾も発売されたので、読み始めたところです。

******

レブンワースでも、ドイツのビールの祭り「オクトーバーフェスト」が
あって、秋には観光客がどっと押し寄せるそうです。
行ってみたいな、レブンワース!
毎年、名古屋で7月に開催されるオクトーバーフェストですが
今年はどうかな・・・もし日本で収束できたとしても、ドイツから
ビールが届くでしょうか。ドイツも結構ひどいみたいですし。

2020年3月 6日 (金)

巴里マカロンの謎 感想

巴里マカロンの謎
米澤穂信著 創元推理文庫2020/01刊 お薦め度:★★★★☆

高校生男女コンビ、小鳩くんと小山内さんが日常の謎を説く
小市民シリーズ」11年ぶりの新作。
11年経っても高校生のサザエさん方式。

表題作は新規オープンのスイーツ店で、3つセットのマカロンを
注文したところ、席を立っている間に4つめのマカロンが
皿に乗っていた、というもの。いったいこの店内の誰が
何の目的でマカロンを追加したのか?
・・・などスイーツがらみの謎4篇を収録。
0306

最初から文庫で読めるお買い求めやすさと、安定の面白さ。
それこそチョコでもつまみながらお茶飲みつつ読むのに最適です。

しかしそんな優雅な気分にもなれない昨今ですが・・・。

******

ブログの更新頻度、今年も低いぜ!アクセス数は極小だぜ!
と思いつつ、少ない更新内容をさかのぼって見ていたら
今年最初の記事では

「2020年は災害が無いといいなあ。
それだけはお天とう様にお願いしたいところです」

と締めくくっていました。災害どころかすでに世界規模で
パンデミックな感じになってきています。
災害は局地的なので被災地を支援したりもできそうですが
これは地域が拡大する一方です。
私の住む市にも、感染者が出たそうです。
早く収束を願うばかりです。

2020年3月 1日 (日)

読むお酒

『“よむ”お酒』
スズキナオ・パリッコ共著 イーストプレス2019/11刊

これは世界一役に立たない“お酒”の本です。
でも、読むと人生が少しだけラクになる…かも。
cakes連載『パリッコ、スズキナオののんだ?のんだ!』を書籍化
酒にまつわるあれこれをゆるーく、ぬるーく、たまに真剣に書き綴る。
人気酒場ライター2人による酒飲みユニット「酒の穴」による
初エッセイ集!(出版社HPより)

だそうです。目次としては

・ポイントカードのポイントを使ってまで飲む
・会社の飲み会
・酒場のおつまみシェア問題
・酒のシメ問題
・酒の席の会話
・気になるあの店員さん
・酒場で出会った不快イ話・・・etc
0301

読めば読むほど、どうでもいいお酒にまつわる話を
2人のライター交互にエッセイにして綴ったものです。
コピーに偽りのない、役に立つ点、有益な情報の
1個もなしの本です(笑)。

このスズキナオさん、パリッコさんのお二人は「酒の穴」
というユニットで活動していらして「チェアリング」なる
ものを提唱(?)されています。
チェアリングはアウトドア用の折りたたみイスを持って出掛け
川べりとか適当な場所にイスを置いて酒を飲む、という行為。
公園のベンチではなく、持参のイスを使うのが基本で、
どこでも自由にパーソナルスペースを作って飲むことに意義が
あるようです。近くにトイレとコンビニがあると、なお良いとか。
なんか都会的でちょっとおしゃれ(なのか?)。

*********

お酒の量、減りました。まず寝酒をやめたので。
夜、寝る前に焼酎を飲む習慣がありましたがやめました。
焼酎を家に常備しなくなりました。
まれに寝酒をやるときはビールか缶チューハイですね。
焼酎はどうしても、割らずにストレートでやってしまう
(そのほうが圧倒的に美味い)ので、胃腸によろしくないですね。
高齢化にともない、リスクを考え中止しました。

できれば細く、長くのお付き合いをしたい。お酒には。

父は酒飲みでしたが、高血圧、腎臓病などを発症して、禁酒のうえ
食事制限をしています。
酒はだめ、甘いものはだめ、塩っ辛いものもだめ、生の果物はだめ。
旅行に行ったりしても土産を送ってやることもできない。

人間、飲み食いの楽しみを制限されると、つまらないですよね。
妻も飲みますが、どちらかが体を壊して飲めなくなったら本当に
残念な食卓になってしまいそう。
健康、重要ですな、あらためて。

2020年2月22日 (土)

シャーロック・ホームズ語辞典

シャーロック・ホームズ語辞典
北原尚彦・文/えのころ工房・絵 誠文堂新光社2019/12刊

ホームズにまつわる言葉をイラストと豆知識でパイプ片手に読み解く
・・・という副題がついています。
0221

表紙にパイプが3本描かれていますね。
ホームズをはじめとする「名探偵」のアイコンであるパイプは
柄が曲がったパイプで表現されがちですが、実際ホームズの時代の
パイプは曲がったものがなかったらしく、まっすぐが正解だそうです。
なので、表紙のシルエットもまっすぐなパイプを持っています。

同様に、ホームズが着ているあのチェック模様のインヴァネス
そんなの着ているという描写は本文(シャーロキアンは「正典」と
呼ぶそうですが)にはないそうです。
挿絵とかのヴィジュアルの影響で定着したようですね。
「旅行用なので、都会のロンドンで着ているのはヘンである」と、
この本にも書かれています。なので、本書のイラストでは
ホームズはインヴァネスを着用していません。

そんなこんなの小ネタも含む面白情報満載の本です。
文はホームズ研究の第一人者・北原尚彦さん。
項目は正典=ドイル作ののオリジナル以外にも、パスティーシュ、
映画、アニメ、俳優・声優にも及んでいます。
オールカラーで写真は書影のみ。あとはえのころ工房さんの
イラストになっています。写真だと権利関係とかいろいろ
あるんでしょうね。変に不鮮明な白黒写真を載せられるより、
カラーイラストで楽しく表現したのは正解ですね。
作品の登場人物もイラストになっていて、読みながらイメージ
しやすいです。

ホームズとワトソンがいたベーカー街221Bの部屋も俯瞰で
イラストになっています。これはなかなか力作ですね。
ドイルが生きていたら見せてやりたい。
妖精さんに天国までこの本を運んでもらおうかしら。

この番地221Bにちなんで、2月21日はホームズの日だそうです。
ちなみに「2月21日は何の日」でググっても、ホームズの日とは
出てきません。そんな有名じゃないのね~。

池田邦彦さんのコミック『シャロッキアン!』も再開して欲しいね
(と、この本にも書かれていました)。あれはドラマ化して欲しい。
ただ私は特にシャーロキアンではございません。念のため。

2020年2月 5日 (水)

『ゼロ時間へ』感想

ゼロ時間へ
アガサ・クリスティー著 早川文庫 お薦め度:★★★★★

ある男が自殺を試みるが、失敗してしまう。
病室で彼はもう一度自殺をすると宣言するが、看護婦は答える。
「あなたはもう自殺なんかしない。あなたはある時、ある場所に
いるだけでいい・・・」

なぞの予言で始まる物語は、殺人が起こる決定的時間「ゼロ時間」
へ向けてそろそろと動き出す。

金持ちの老婦人の邸宅に集まった人々。
その中にはスポーツ選手として有名なネヴィル、その現在の妻で
美人のケイ、離婚したその前の妻で地味なオードリー、そのケイや
オードリーを慕う男たち・・・。
やがて起きる殺人事件を捜査するのはクリスティー作品では
イマイチ有名ではないバトル警部だった。
0205

・・・・ということで小遣いが乏しくなると、ハードカバーでは
なくて、文庫を買うと(笑)。

クリスティー文庫は、最近『ナイルに死す』とか『カーテン』、
ABC殺人事件』なんかを読んで「やっぱり面白いね!」と
思う今日この頃。事件だけじゃなく、ドラマ部分も読ませるので
映像化しても面白いんでしょうね。

この『ゼロ時間へ』は、地味であまり有名な作品ではないですが
事件そのものも面白いし、伏線を回収しながら解決へ向けて
収斂していくところは、まさにミステリの醍醐味を味わえます。
ファン投票、著者自選でもベスト10に入る作品だそうです。
次は何を読もうかな!

より以前の記事一覧